白書コンパス【2】あなたの事業に迫る3つの逆風。その正体と今すぐできること。
カイエダです。
前回の記事では、国が発表する「中小企業白書」が、私たちの事業の未来を考えるためのヒント集になる、というお話をしました。
今回は、その白書が「今、多くの事業者が直面している課題」として特に注意を促している、“3つの向かい風(逆風)”について、一つひとつ見ていきます。
はじめに
「なんだか最近、経営が厳しいな…」と感じる背景には、これからお話しする3つの要因が隠れているかもしれません。
その正体を知ることで、具体的な対策の第一歩が見えてきます。
逆風【1】終わらない「コスト高」の波
まず一つ目は、多くの方が肌で感じているであろう「コスト高」の問題です。
円安や、世界的なエネルギー価格の上昇などの影響で、事業で使うあらゆるものの値段が上がっています。
お店で使う食材や商品の仕入れ値、作業で使う資材、ガソリン代、そして毎月の光熱費…。
まるで、静かに、でも確実に、足元から水かさが増してくるような感覚に近いかもしれません。
一番悩ましいのは、この上がったコストを、そのまま販売価格に上乗せするのが難しいという現実です。
「値上げをしたら、長年のお得意様が離れてしまうかもしれない…」
そう考えると、なかなか思い切った価格改定はできず、結果として利益がどんどん削られてしまう 。
このジレンマを抱えている事業主の方は、本当に多いのではないでしょうか。
白書が示すヒントは、ただ値上げを検討するだけでなく、「事業のコスト構造そのものを見直す」という視点です。
例えば、「目には見えにくいけれど、実は無駄になっている時間や手間」といった内側にあるコストに目を向けることが、この逆風を乗り切る鍵になるかもしれません 。
逆風【2】ますます深刻になる「人手不足」
二つ目は、日本の多くの産業で叫ばれている「人手不足」です。
特に、宿泊・建設・運輸・小売といった、現場の力が欠かせない業種では、人手不足が事業の継続を脅かすほどの深刻な問題となっています。
地方では、その傾向がさらに強いとも言われています 。
この問題が怖いのは、
「負担増 → 離職 → さらなる人手不足」という、負のスパイラルに陥りやすい点です。
新しい人が入ってこない中で、今いる貴重なスタッフの負担ばかりが増えていく。
その結果、心身ともに疲弊して辞めてしまったら、残されたメンバーの負担はさらに重くなります。
こうした状況を断ち切るために白書が提案しているのは、「人に頼りすぎない業務の仕組みを整える」ということです。
ITツールを活用したり、日々の業務フローを見直したりすることで、少ない人数でも無理なく事業が回る体制を築く。
それが結果的に、今いるスタッフの定着と、新たな人材確保の魅力にも繋がっていくのです 。
逆風【3】いよいよ本格化する「金利のある時代」
そして三つ目が、少し専門的に聞こえるかもしれませんが、非常に重要な「金利」の話です。
私たちは約30年もの間、「ゼロ金利」という、きわめて低い金利でお金を借りられる時代を生きてきました。
しかし、その特別な時代は終わりを迎え、今後の金利上昇は確実視されています。
これは、私たちの事業経営に直接的な影響を及ぼします。
もし、事業の運転資金や、新しい機械の導入などで金融機関から借入をしている場合、今後の金利上昇によって、毎月の返済負担が増加する恐れがあります。
気づかないうちに、じわじわと利益を圧迫し、資金繰りを硬直化させてしまう可能性があるのです。
この変化に備えるためには、今のうちから自らの事業の財務体質をしっかりと見直しておくことが不可欠です。
業務の効率を上げて利益を増やし、借入への依存度を少しずつ下げていく。
そんな未来を見据えた経営へと舵を切るタイミングが、まさに今、訪れています 。
まとめとして
「コスト高」「人手不足」「金利上昇」。
どれも、一つひとつが重い課題ですよね。
しかし、こうして課題を明確にすることで、打つべき手も見えてきます。
次回は、これらの逆風を乗り越え、持続可能な事業を築いていくために、国が示している「2つの処方箋」について、希望の持てるお話をしたいと思います。
お楽しみに。