【エピソード18】アルバムレビュー『讃集詩(さんじゅうし)』Alfee(THE ALFEE)

2025年5月5日Music & Artists

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【エピソード18】アルバムレビュー『讃集詩(さんじゅうし)』Alfee(THE ALFEE)
カイエダ

カイエダです。
今回は、前作『TIME AND TIDE』から9か月ぶりのオリジナルアルバムとなる、Alfee(THE ALFEE)のサードアルバム『讃集詩』のレビューを書いていきます。哀愁と青春、そして三声ハーモニー。坂崎さん最後の作詞作曲も収録された初期Alfeeの名盤『讃集詩』を、丁寧に読み解きます。

『讃集詩』概要

『讃集詩』(さんじゅうし)は、1980年5月21日にリリースされたTHE ALFEE(当時表記はAlfee)の3枚目のオリジナルアルバムです。発売元はF-LABEL。
その後、1985年に初のCD化、1990年にも再発され、さらにメジャーデビュー15周年(1989年)にはGOLD CDとして、35周年(2009年)には紙ジャケット仕様のHQCDとしても再リリースされている、まさに愛され続けてきた一作です。

前作『TIME AND TIDE』からわずか9ヶ月という短いスパンで発表されたこのアルバム。
今作の特筆すべき点は、すべての編曲にメンバー自身が関わっているということ。前作では外部アレンジャーが手を添えていた曲もありましたが、『讃集詩』では全編にわたりメンバー主導で制作されています。
また、坂崎幸之助さんが作詞・作曲を手がけた楽曲が収録されている最後のアルバムでもあります。ここで完全に分業制に切り替えたということなのでしょうね。
坂崎さんはラジオに出てDJとして活躍されていたので広報として、桜井さんは営業として(今も物販の営業としてライブでお話しされてますね)、高見沢さんは楽曲の制作班として。

『讃集詩』収録曲&勝手なコメント

  1. やすらぎをもとめて(ALFRED TUNE)(作詞・作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー、井上鑑)
    …😎さん👩‍🦰さんスイッチボーカル。Alfeeの美しい三声ハーモニーが堪能できる曲。編曲で入られている井上鑑(あきら)さんは、1981年、寺尾聰の『ルビーの指環』、同アルバム『Reflections』で第23回日本レコード大賞編曲賞受賞されたアーティストです。
  2. Something Blue(SOMETHING BLUE)(作詞・作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー、矢野立美)
    …😎さん👩‍🦰さんスイッチボーカル。爽やかな曲調なのに、歌詞の中に「おんなの〜うらみごと〜」と入ってくるのはものすごく違和感があります笑。👩‍🦰さんの女声が合っている曲ですね。途中入ってくる😎さんの声が力強く、かつ美しいです。
  3. 帰郷(GOING HOME)(作詞・作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー、井上鑑)
    …😎さんリードボーカル。この曲も美しい三声ハーモニーがいいですね。歌詞は…切ない、恋愛の終わる歌。フォークって生活感ありますよね…。「もぉー」の部分の御三方のコーラスが好きです。
  4. 逆もどり浮気考(I WANNA HOLD YOUR HAND AGAIN)(作詞・作曲:坂崎幸之助 / 編曲:アルフィー、井上鑑)
    …🤓さんリードボーカル。🤓さん作詞作曲!生々しい歌ですね〜!実体験かしらね。前に付き合っていた人と通りすがりに再会して、そのまま…ってパターン。あるのでしょうか。そういえば。昔の年上の友達にこのパターンがあてハマって。当時の旦那さんと離婚して元恋人と再婚しました。お幸せに暮らしておられます笑
  5. 明日なき暴走の果てに(SONG FOR MY FRIEND)(作詞・作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー、井上鑑)
    …😎さん🤓さんスイッチボーカル。シングルとなった無言劇のB面曲です。よくライブでも歌っていらっしゃいますよね。学生運動をテーマにした曲なのでしょう。
  6. 坂道(I SAY WELCOME TO MEMORY)(作詞:坂崎幸之助 / 作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー、井上鑑)
    …😎さんリードボーカル。詞の意味が深いですね。過去の自分なのか、昔の友達なのか、と勝手に想像しています。この坂道、あとどのくらい登ればいいんだよ、っていうところが、当時の本音だったのでしょうか。昔の自分って嫌は嫌だけれども、それがあったからこそ今があるワケだし、苦労したり努力したことは決して無駄にならないんですよね。そんな思いを感じます。😎さんのまっすぐな声が魅力的。
  7. 落日の風(WEEPIN’ IN THE WIND)(作詞・作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー、井上鑑)
    …😎さんリードボーカル。この頃の😎さんが出せる音域よりも高い感じがします。👩‍🦰さんが😎さんの魅力をさらに引き出していますね…。ツアー中に訪れたのでしょうかね、飛騨に。「いつか俺にも春は来るだろうか」。これも「坂道」同様、当時のなかなかヒット曲が生まれない現状を憂いていたのでしょうか。
  8. ロンサム・シティ(LONESOME CITY)(作詞・作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー)
    …👩‍🦰さんリードボーカル。学生運動の頃を(御三方は高校生?だったので学生運動をされていたわけではないのですが、大学と共通の校舎だったため、その熱は感じていたみたいです)歌った感じの歌でしょうか。👩‍🦰さんの、か細いボーカルが綺麗です。
  9. 無言劇(ROOM 402(詞・作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー、矢野立美)
    …😎さんリードボーカル。英題がROOM402とは…!意味深すぎます。学生時代によくありがちな恋愛のいざこざっぽい曲です。大学生ってこういう、誰と誰が付き合っていたのに、こいつとあいつもくっついていた!みたいなことよくありました(ええ、私にもそういうのはわかります笑)。友達の裏切り的なヤツはきついですよね。
  10. 追想(HOW CAN I HEAL MY BROKEN HEART)(作詞・作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー、井上鑑)
    …👩‍🦰さんリードボーカル。暗すぎませんかあまりにも!この歌!手首切っちゃうとか。ですがそれすらも今生きてるから感謝に変えちゃう。前向きなことを歌っているように変換してますが相当キツいテーマです。手首の傷さえ誇りに思うとはなんとも痛々しい!こういった内容に、当時の薄幸そうな👩‍🦰さんのボーカルが合いすぎています。
  11. Musician(MUSICIAN)(作詞・作曲:高見沢俊彦 / 編曲:アルフィー、井上鑑)
    …🤓さんリードボーカル。今でもライブでよく歌われる曲。🤓さんが歌う曲の中で私はこの曲が一番好きです。いろんなテイクがあり、その時々によって歌詞を変えて歌っていらっしゃいます。私がTHE ALFEEの曲の中で泣く曲といったら、まずこの曲が上がります。なんかいいんですよね。

全体的な感想

2025年4月、私がこのアルバムを初めて聴いたとき、初めて聴くのに懐かしい気持ちになりました。フォークってそういうものなのでしょうか。

冒頭を飾る「やすらぎをもとめて」は、まるでコーラスの海に身を沈めたような、三声の美しさと静謐さが胸に響きます。
空気が澄んで感じられるのです。
このあたりからドラムが目だったり、サックスを入れたりしてかなりアレンジが加えられ始めた気がします。

収録曲は全体的に哀愁と優しさ、そして“どこか物悲しい青春”の香りが漂います。
「無言劇」や「明日なき暴走の果てに」「Musician」は今なおライブで披露されることもある人気曲。
そして、心情の綾を描くような「追想」、音楽そのものへの想いがにじむ先述もしている「Musician」――ラストまで気を抜けない構成です。

本作が発表された1980年、日本の音楽シーンでは以下のような曲がヒットしていました。
フォークっぽいのは、長渕さんと海援隊?でしょうか。オフコース「さよなら」が大ヒットしていたんですね。
Alfeeのこの“あまりにも真っ直ぐなフォーク感”は、ある意味時代には逆行していたかもしれません。

年間TOP10(データ集計会社 オリコン)

1位 もんた&ブラザーズ:「ダンシング・オールナイト」
2位 久保田早紀:「異邦人 -シルクロードのテーマ-」
3位 クリスタルキング:「大都会」
4位 シャネルズ:「ランナウェイ」
5位 長渕剛:「順子/涙のセレナーデ」
6位 海援隊:「贈る言葉」
7位 五木ひろし:「おまえとふたり」
8位 ロス・インディオス&シルヴィア:「別れても好きな人」
9位 オフコース:「さよなら」
10位 田原俊彦:「哀愁でいと (NEW YORK CITY NIGHTS)」

こういうランキングを見ると、尋常でなく色々懐かしいですね…!
トシちゃんの哀愁でいととか、私も流石に無茶苦茶覚えてますよ。なんか真似して歌った記憶あります笑。

話を戻しますね…。

『讃集詩』、今聴いてみると、若い御三方のほとばしる情熱を感じます。
フォークロックの奥行きと、生々しい歌詞でしか描けない「切なさ」。
その“言葉の匂い”に、心をそっと掴まれます。

この『讃集詩』というタイトルには、3人組=三銃士にかけたダジャレ的な由来もありますが、それを“詩”にしてしまうあたり、彼らの真面目さと遊び心がにじんでいますよね。
“詩”という言葉の通り、歌詞の美しさもこのアルバムの核になっています。

ちなみにこの作品を最後に、坂崎さんが自作曲を提供することはなくなります。
それだけに、彼の作詞・作曲による「逆もどり浮気考」や「坂道」は、今聴くととても貴重で味わい深い存在です。

今でこそ多彩なジャンルを横断しながら活動するTHE ALFEE。
この時期の彼らには“まだTHEも付いていない”ぶんの、純度の高いAlfeeがいます。
音に込められた想いは、きっと今も変わらず響くはず。
そう信じて、そっとレコードに針を落としたくなるようなアルバムです。
フォークってちょっと苦手かも…と思っていた私も、気づけばこの世界観にすっかり惹き込まれていました。

カイエダ

ヒット曲が生まれるまで、もう少し時間がかかります。
さらに研究を進めてまいります。次回をお楽しみに!!!

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