【エピソード21】アルバムレビュー『doubt,(ダウト)』ALFEE(THE ALFEE)
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カイエダです。
今回は、1982年4月21日にリリースされたALFEEの5枚目のスタジオアルバム『doubt,(ダウト)』をご紹介します。
フォークからロックへ――揺れ動くALFEEの音楽的転換点を刻んだ『doubt,』。切なさと力強さが交差する珠玉の一枚です。
この記事の目次 [表示]
『doubt,』概要
1982年4月21日にリリースされたALFEEの5枚目のスタジオアルバム『doubt,』(ダウト)は、彼らの音楽的転換点を象徴する作品です。発売元はF-LABEL。シングル「泣かないでMY LOVE」を含む全12曲が収録され、後に「SUNSET SUMMER」が初のリカットシングルとして発売されました。LPの初回プレスにはステッカーが封入されていました。
「本作からロックの要素を含む曲の割合が増え、フォーク・バンドからロック・バンドへの過渡期に発売されたアルバム」と言われていますが、私からするとこれはもうロックアルバムだと思います。ハードロックではないだけで(のちのTHE ALFEEさんはいっそメタルなのでね)。
1曲目「See You Again」は80年代のライヴ定番曲となり、2009年の最後の夏イベントではラストの曲として演奏されたようです。後に『PAGE ONE -13 PIECES OF ALFEE』及び『ALFEE GOLD』にはリアレンジされて収録されました。
4曲目「うつろな瞳」はライヴハウス活動時代の楽曲で、2012年のシングル「生きよう」のカップリングにはライヴ・ヴァージョンが収録されました。
6曲目「ロックンロール・ファイティングマン」、7曲目「夕なぎ」もライヴハウス時代から演奏された楽曲であり、当時の前者のタイトルは「ミッドナイトハイウェイドライブ」でした。ちなみに「夕なぎ」は2012年のセルフカヴァーアルバム『ALFEE GET REQUESTS』に新録音されて収録されています。
『doubt,』編曲陣
本作の編曲には、井上鑑、国吉良一、石川鷹彦の3名が参加しています。
- 井上鑑:日本の音楽プロデューサー、編曲家、キーボーディスト。多くのアーティストの作品に関わり、繊細で洗練されたアレンジが特徴です。
- 国吉良一:キーボーディスト、編曲家。ポップスからロックまで幅広いジャンルで活躍し、ALFEEの音楽にも多大な影響を与えました。
- 石川鷹彦:ギタリスト、編曲家。アコースティックギターの名手として知られ、フォークソングを中心に多くの作品に参加しています。
この方たちの参加により、ALFEEの音楽はより多彩で深みのあるサウンドへと進化を遂げたのではないでしょうか。
『doubt,』収録曲&感想( #1~6がA面、 #7~12がB面)
全作曲: 高見沢俊彦
- See You Again (作詞:高見沢俊彦 編曲:井上鑑)
…👩🦰さんリードボーカル。しっとり・でもロックな素敵な曲です。私が見た映像でもSee You Againというくらいなので、やっぱりライブの終わりに歌われていました。なのに!このアルバムでは1曲目なんですよね。私的には恋の歌ではなく、この歌の中でのお相手は「フォークミュージック」なんだろうなと勝手に思っています。また会おうとか、ね。実際フォークを捨てたわけではないTHE ALFEEさん。さらなる音楽の広がりがこのあと待っているわけです。 - ダウト! (作詞:高見沢俊彦 編曲:アルフィー with 国吉良一)
…🤓さんリードボーカル。軽快なロックチューン。なんか歌詞がとっても可愛い感じ。本当に🤓さんは歌い方多彩だな、と感じます。ロックもフォークもお手のものです。 - 悲しみをぶっとばせ (作詞:高見沢俊彦 編曲:アルフィー with 国吉良一)
…👩🦰さんリードボーカル。こちらも軽やかなロックでポップな曲ですね。こういう曲、なんかアイドルが歌ってもあり得そうなノリです。間奏のギターがいかにもな型にハマっていて聴きやすいです。フォークではこの手の明るさってないですもんね。前作では感じられない「楽しい」雰囲気が溢れています。 - うつろな瞳 (作詞:高見沢俊彦 編曲:アルフィー with 国吉良一)
…😎さんリードボーカル。ベースソロから入るというのは、THE ALFEEでは珍しい曲。😎さんのセクシーな艶やかな声が活かされてる曲。人形遊びに飽きた…と歌詞に入っていますが、👩🦰さんご自身はずーっとゴジラとかでお人形遊びしてると思うんですけどね^^😎さんとハモっている👩🦰さんの声が高い…!アコギの入り方が渋い…。 - 泣かないでMY LOVE (作詞:高見沢俊彦 編曲:井上鑑)
…🤓さんリードボーカル。🤓さんのファルセットが綺麗。このバンドでファルセットでリード歌っているのって実は🤓さんだけなんですよね。表現の幅や彩りが広がります。サビが夏っぽくていいなぁ〜。 - ロックンロール・ファイティングマン (作詞:高見沢俊彦 編曲:アルフィー with 国吉良一)
…😎さんリードボーカル。楽しい曲です。このアルバムは全体的に切ない曲よりも楽しい雰囲気の曲が多いです。 - 夕なぎ (作詞:高見沢俊彦 編曲:井上鑑)
…🤓さんリードボーカル。この曲はメロディアスな名曲です。フォークっぽい世界観ではあるのですが、やってる演奏はロックです。ちょっと歌謡曲というか演歌っぽい展開ですが(日本海とか出てくるしw)、このアルバムで一番好きな曲です。 - 稚くて愛を知らず (作詞:高見沢俊彦 編曲:アルフィー with 石川鷹彦)
…👩🦰さんリードボーカル。「稚くて」の読み方が分からず調べたら「いとけなくて」と読むんですね。「年が小さい。また、あどけない」という意味。「おさなくて(幼くて)」と読んだとしても意味は一緒かと思います。この歌では歌詞の中でも「おさなくて」と歌われているからそちらかもしれませんね。同名の、石川達三の小説がありますが、その小説の内容よりも👩🦰さんの歌詞の方が愛があるなぁ、と、私は感じています。 - SUNSET SUMMER (作詞:高見沢俊彦 編曲:井上鑑)
…😎さんリードボーカル。夏の浜辺の夕方の絵が浮かんできますね。オレンジ色の。こういう曲をBGMにチークダンスとか踊るダンスパーティーでかかりそうな曲だな〜と感じました。 - OッDORANAI!! (作詞:アルフィー 編曲:アルフィー)
…😎さんリードボーカル。軽快なポップンロール。この曲をライブで歌っている映像を拝見すると、むちゃくちゃ楽しそうなんですよね。前曲"SUNSET SUMMER"から続く夏のラブソングといったところなんでしょうね。途中入る🤓さんの掛け声「ワンツーさんしっ」がいいーーー!!! - Since 1982 (作詞:高見沢俊彦 編曲:井上鑑)
…👩🦰さんリードボーカル。切なくて美しいバラード。間奏で入るギターソロも👩🦰さんの腕の見せどころ…。ロックバンドとしてのスタートを切っていくよここから、という決意が感じられます。ドラムとシンセが入ると、グッと世界観が広がりますね。👩🦰さんのソングライターとしての実力を感じてしまいました。 - お・や・す・み (作詞:高見沢俊彦 編曲:アルフィー)
…👩🦰さんリードボーカル。優しい美しい、うっとりする曲。三声の美しさが際立っています。この曲聴きながら眠りにつけたら本当にいい夢が見れそうです。
ロックバンドALFEE
心にパッと灯りがともるような明るさと、どこか懐かしさの混じった切なさが交錯する…そんな不思議な魅力に満ちた一枚。
それがALFEEの『doubt,』です。
まず最初に触れずにはいられないのが、アルバムの冒頭を飾る「See You Again」。アコースティックギターの優しい音色から始まり、エレキ、ピアノ、シンセ、ドラムと次第に音の重なりが加速していく構成は、まさにロックバンドとしてのALFEEが花開く予兆のよう。
2009年の夏イベントのラスト曲に選ばれたことも納得の、エモーショナルな名曲です。
ライブ映像で見ると、今でも歌われる人気曲。
それに続く「ダウト!」や「悲しみをぶっとばせ」では、タイトルからも伝わる通り、軽快なロックナンバーが展開されます。どこか青臭さを感じさせるメロディが、今となってはむしろ愛おしくて…。時代の空気を含んだまま、今の私たちにも語りかけてくるような力があります。
アルバム全体を通して印象的だったのは、A面とB面のコントラストの美しさ。前半はロックテイストの曲で勢いよく駆け抜けるような感覚があるのに対し、後半のバラード調の曲たちは、ふっと力を抜いて優しく寄り添ってくれるような安心感があります。とくに「夕なぎ」のしっとりとしたフォーク風の雰囲気は、日々の喧騒に疲れた心をそっと包んでくれるようで…何度もリピートしてしまいます。
このアルバムには、「ロックとフォークの狭間で揺れるバンドの姿」が映し出されています。まだ完全に“ロックバンド”としての形を確立する前の、どこか曖昧で、それでも誠実に音楽と向き合っていた彼らの模索と情熱が、ひしひしと伝わってくるのです。
それはまるで、「変わらなければ、生き残れない」と悟った彼らが、自らを奮い立たせて進んでいこうとする覚悟そのもの。音に込められた想いが、聴くたびに胸の奥をぎゅっと締めつけてきます。
そしてラストに控える「SINCE 1982」。タイトルがそのまま、バンドとしての新たなスタート地点を示しているかのようで、まさに『doubt,』というアルバム全体のメッセージを象徴する一曲。歌詞がじんわりと心に染み込み、気がつけば何度もリピートしています。
派手さや目を引くキャッチーな楽曲がない分、アルバム全体としてのバランスと、各曲の丁寧なアレンジの素晴らしさがより際立っていて、それが逆にこの作品の魅力になっていると感じます。
ALFEEというバンドが、フォークソングからロックへと移り変わっていく中で、何を捨て、何を残したのか――そんな“転換点”に立ち会えるような、そんな感慨深い一枚でした。THE ALFEEの音楽的進化の過程を感じさせる作品であり、ファンにとっては特別な意味を持つアルバムです。

次のアルバムから完全にロックバンドになっていくALFEE。
👩🦰さんも髪をバッサリと切って(パーマもあててますよね)覚悟を感じます。
こうしてレビューするために、ALFEEさんの(スタジオ録音の)アルバムを1枚ずつじっくり聴いているのですが、時代時代で変化していくことへの戸惑いや決意を、1曲1曲から感じることができて、とにかくなんだか感動というか泣けてきます。
今のTHE ALFEEさんがあるからこそ、こうして過去のアルバムも聴けるわけで。
アルバムを聴くことができたことに感謝の気持ちが湧いています。
NEXT►【エピソード22】アルバムレビュー『ALFEE』ALFEE(THE ALFEE)
ALFEE(THE ALFEE)のアルバムレビューを続けます(安全地帯と時期を合わせるために)。次回はALFEEのスタジオアルバム第6作目『ALFEE』をレビューします。
