【エピソード34】アルバムレビュー『Kiss: Ace Frehley』Ace Frehley

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【エピソード34】アルバムレビュー『Kiss: Ace Frehley』Ace Frehley
カイエダ

カイエダです。
Ace Frehley追悼企画という記事も書きましたが、私なりにエースのソロアルバムのレビューを残しておきます。今更感が強い…!ですが、名盤は時代に関係ありませんのでね。

『Kiss: Ace Frehley』概要

1978年9月18日。
ロック史の一つの節目ともいえる日付と言えるかもしれません…!
KISSの4人それぞれの個性を最大限に表現したソロアルバムを同時にリリースしたその日、ギタリストAce Frehley(以降エース)が放った一枚がこの『Ace Frehley』でした。

この作品は、バンドの象徴的なメイクを脱ぎ捨てることなく、自身の音楽的ルーツやプレイヤーとしての真価を静かに、しかし確実に提示したアルバムです。

中でもラス・バラード作の「New York Groove」は、彼のソロキャリアを象徴するほどの大ヒットとなり、全米シングルチャート13位を記録しました。
もともと1975年にHelloが演奏していたグラムロックの一曲を、エースは独特の軽快さと都会的なセンスで再構築。
KISSの枠を超えたアーティストとしての感性を見事に示しました。

Kiss: Ace Frehley

当時、4人の中でも最もセールス面で成功したのがこのアルバムだったという事実は、彼がどれほど多くのファンに愛され、音楽的にも認められていたかを物語っています。
キッスの名義でありながら、エース・フレーリーの個性がどこまでも自由に息づく——そんなアルバムです。

『Kiss: Ace Frehley』背景

このアルバムのプロデュースを手がけたのは、エース自身とエディ・クレイマー。
ドラムには後にKISSの『Dynasty』や『Unmasked』でも演奏するアントン・フィグが参加。
のちにエースのソロプロジェクトでも参加してますよね。リズム面でサウンドのまとまりを支えています。
ハードロックの骨格に、70年代のニューヨークらしいストリート感、そしてどこか宇宙的な浮遊感を併せ持つサウンドが、聴く者をぐっと引き込みます。

エースはインタビューで、「ポールやジーンの助けなんて必要なかった」と語っています。
その言葉には、当時の彼が抱えていた孤独と反骨心、そしてギタリストとしての誇りがにじんでいます。
バンドという枠の中で時に埋もれがちだった彼の創造力。
このアルバムではまるで夜空に放たれた流星のよう!まっすぐに輝いているのです。

当時の批評家たちの評価も高かったようです。

  • 「キッスの4枚のソロアルバムの中で最も優れた作品」 グレッグ・プラト(オールミュージック)
  • 「リフ・ロック、パワーポップ、そしてほんの少しのソウルが溶け合った作品(バランス感覚の高さを称賛)」ピッチフォーク
  • 「最も気取らず、最もヘビーで、最も売れたアルバム」マーティン・ポポフ

音楽的な派手さよりも、堅実で真っ直ぐなギター・ロックがここに息づいていることを示しています。

商業的にも、このアルバム単体でビルボード26位にランクインし、すぐにプラチナディスクを獲得。
1978年という華やかなロック黄金期においても、この作品が確固たる存在感を放っていたことは疑いようがありません。

『Kiss: Ace Frehley』(1978リリース)収録曲&感想

  1. Rip It Out(Frehley, Larry Kelly, Sue Kelly)
    …アントン・フィグの強靭なドラムとフレーリーの伸びやかなギターが交錯し、まさに解き放たれた瞬間のような疾走感!!!
  2. Speedin’ Back to My Baby(Frehley, Jeanette Frehley)
    …ロックの衝動とポップな軽やかさが見事に溶け合ってる!軽薄な感じのボーカルがイイ!
    Jeanetteは、当時のエースの奥様みたいですね。娘さんがおひとりいます(他にもいるのかな?)
  3. Snow Blind(Ace Frehley)
    …イントロからはじまる独特なギターリフがクセになる名曲。
    ギターソロと全く違うところがとてもかっこいい!ソロからまたこの独特なリフに戻ってくるのがまたクセになります。
    エース、作曲家&アレンジャーとしてすごいんじゃないでしょうか。
  4. Ozone(Ace Frehley)
    …なんていうんでしょう。ちょっと泥臭い感じがいいですね。サザンロックっぽい感じなのか。ハイになっている状態のときの曲なんでしょうね。またこのギターソロが秀逸すぎやしませんか。エース、すご!ってなります。
  5. What’s on Your Mind?(Ace Frehley)
    …こういうパターンの曲も作っちゃうんだ、という発見をくれる曲。歌詞をみると、これは遠回しなラブソングなんでしょうね^^
  6. New York Groove(*Hello cover* Russ Ballard)
    …このアルバムの代名詞ともいえる曲かもしれません。
    What’s on Your Mind?が終わって、このNew York Grooveの「ザッザッ」と小気味よいリズムからはじまるこの曲に入ると、ものすごい安心感というか多幸感に包まれる私は一体何なのでしょうか笑
    都会のきらめきと「若さゆえの孤独感・焦燥感」を同時に抱えた名曲。軽快な感じがいいです。
  7. I’m in Need of Love(Ace Frehley)
    …気だるいボーカル!色っぽいですね…。雰囲気たっぷりでダウナー系か?と思わせておいてのギターソロ部分で思う存分弾きまくる!という展開の曲。メリハリがいい〜〜〜!
  8. Wiped-Out(Frehley, Anton Fig)
    …楽しい曲〜〜〜とくにはじまりが。Wiped-Out!!というエースの雄叫び聴いただけでゾクゾクします。まあ「めっちゃ疲れた〜〜!」って意味らしいですが^^曲の後半になると転調、そして転調と本当に楽しい曲です。まあ、エースは相当お酒を飲んでいた人らしいので、酔っ払い…、いや、アル中曲ですね笑
  9. Fractured Mirror(instrumental)(Ace Frehley)
    …美しいインストゥルメンタル。まるで物語のエピローグのような余韻を残します。
    宇宙に連れていってもらえるような期待感を与えてくれます。あなたは先に行ってしまったけれどね涙

まとめとして

カイエダ

KISS4人がそれぞれソロ作品を発表した中で、最も自然体なロック!なのがこのエースの作品だと思います。
派手な演出や技巧を超えて、彼の中に流れるシンプルかつスペースマン所以たる浮遊感を感じさせるロックの魂が、ここでは誠実に形になっているのではないでしょうか。
ギターの音色一つひとつがまるで語りかけるように響き、彼が音で自分を表現するということの意味を深く感じさせてくれます。
うっすら感じられる、当時のメンバー間の緊張関係や内部のゴタゴタなどを超えて(笑)、純粋に音楽としてこのアルバムは素晴らしいです。
どこか切なく、それでいて骨太なロック。このソロアルバムは、当時のKISSだからこそ完成した、エースの才能と自由が爆発した作品なんだろうと、私は思っています。

レビューするにあたり改めて聴いてみているのですが、ほんとうに素晴らしいアルバム。
もう一度言わせて。ありがとう、エース。