【エピソード27】アルバムレビュー『プルシアンブルーの肖像 オリジナルサウンドトラック』安全地帯
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カイエダです。
久しぶりの安全地帯のブログ記事です〜!
さて。安全地帯というバンド名を聞いて、多くの方がまず思い浮かべるのは、玉置浩二さんの歌声かもしれませんね。
ですが、彼らの音楽は、玉置さんの歌声だけでは語り尽くせない、奥深い魅力に満ち溢れています。
今回ご紹介する『プルシアンブルーの肖像 オリジナル・サウンドトラック』は、そんな安全地帯の、また違った一面を垣間見せてくれる、とっておきのアルバムです。
この記事の目次 [表示]
『プルシアンブルーの肖像』概要
このアルバムは、1986年8月1日にKitty Recordsからリリースされました。
実はこれ、玉置浩二さんが主演された東宝映画『プルシアンブルーの肖像』(1986年)のサウンドトラックとして制作されたものなんです。
安全地帯名義で発表されているのですが、作詞は「青空」や「夢」、「ゆびきり」、「プルシアンブルーの肖像」といった曲で松井五郎さんが担当されていて、作曲は玉置さんだけでなく、プロデューサーの星勝さん、安全地帯ギターの矢萩渉さん、そしてキーボード&ベースの六土開正さんも手掛けていらっしゃいます。
バンドメンバーが作曲しているという点も、このアルバムの大きな魅力の一つです。
映画『プルシアンブルーの肖像』は、玉置さんと作詞家の松井五郎さんが一緒に原案を考えられたそうです。
松井さんによると、玉置さんの役柄にはアルフレッド・ヒッチコックの映画『サイコ』(1960年)に出てくるアンソニー・パーキンスのイメージを重ねたんだとか。
松井さんご自身は、「子供時代に誰もが体験したことのある空間の恐怖感と、初めて人を好きになったときの衝動を軸に展開した」と話されています。
玉置さんが演じられた萩原秋人という役は、失語症を患っているという、それまでの玉置さんのイメージとは全く違う役柄だったようです。
歌によって確立された玉置さんのセクシーでミステリアスなイメージはなかったものの、当時、玉置さんと石原真理子さんの不倫交際が破局したと耳にされていた松井さんには、その役柄に違和感はなかったそう。
映画に出てくる内向的な少女と、過去に自身が殺してしまった初恋の少女を重ね合わせて苦悩する青年というイメージ。
松井さんが手がけられた歌の歌詞に、投影されています。
この映画に出演したことをきっかけに、玉置さんはその後たくさんの映画やテレビドラマに出演されるようになって、バブル経済の影響もあったのでしょう、メディアミックス戦略の先駆けとなったようです。
いやほんと、俳優さんとしても能力が高いし魅力的なんですよね。
玉置さんが出てると「なんかやってくれる…!」という期待感が持てる感じのいいポジションでした。
このアルバムは、1986年8月1日にLPレコードとカセットテープの2つの形で発売されて、その5日後の8月5日にはCDもリリースされました。
アルバムの中でも特に「プルシアンブルーの肖像」は、映画の主題歌として使われただけでなく、大王製紙「エリス」のコマーシャルソングにも採用されたため、当時、色々な場所でこの曲を耳にする機会がありました。
音楽情報サイト『CDジャーナル』では、以前から玉置さんが映画出演を望んでいたことや、この作品がミステリアスなストーリー展開であることを紹介した上で、日本の小学校での15年前の出来事を描いた物語にぴったりなサウンドだと評価し、「幻想的なサウンドが楽しめる」と肯定的なレビューがなされています。
オリコンアルバムチャートでは、LPレコードが最高位4位で14週間登場し、11.7万枚を売り上げ、CDも最高位4位で11週間登場し、4.6万枚を売り上げたそうですよ。累計で16.3万枚ものセールスを記録したというのは、本当にすごいことです。
当時の安全地帯の人気を物語っています。
その後も、1990年7月25日と1992年11月21日にはCDで再リリースされていますし、2013年9月18日にはユニバーサル・ミュージックから期間限定生産盤としてSHM-CDで「永遠のサントラBEST & MORE 999」シリーズの一つとして再リリースされています。
その他にも、1996年10月2日にはCD-BOX『安全地帯 メモリアル・コレクション』に、そして2010年6月23日にはCD-BOX『安全地帯BOX 1982-1993』に収録されて再リリースされているんです。
こうして何度も再リリースされていることからも、このアルバムがサウンドトラックとしてではなく音楽的に、いかに多くのファンに愛され続けているかがわかります。
『プルシアンブルーの肖像』収録曲
このアルバムの収録曲は、映画の世界観を彩るように、インストゥルメンタル曲とボーカル曲がバランス良く配置されています。特に、メンバーそれぞれが作曲を手掛けている点も注目ポイントです。
- 青空 (作詞:松井五郎 作曲:玉置浩二 編曲:星勝、安全地帯)
- 旧校舎のテーマ (作曲:矢萩渉 編曲:星勝、安全地帯)
- 夢 (作詞:松井五郎 作曲:玉置浩二 編曲:星勝、安全地帯)
- 時計塔のテーマ (作曲:星勝 編曲:星勝、安全地帯)
- ゆびきり (作詞:松井五郎 作曲:玉置浩二 編曲:星勝、安全地帯)
- プルシアンブルーの肖像 (作詞:松井五郎 作曲:玉置浩二 編曲:星勝、安全地帯)
- 冬花 (作曲:玉置浩二 編曲:星勝、安全地帯)
- カズミ (作曲:六土開正 編曲:星勝、安全地帯)
- Bye Bye マーチからエンディング (作曲:玉置浩二 編曲:星勝、安全地帯)
『プルシアンブルーの肖像』感想
思春期前の、私を思い出す。
このアルバムが発売された当時、私は小学校6年生でした。
ちょうど安全地帯に夢中になったばかりの頃でした。
あの頃の私は、安全地帯の音楽と玉置さんの歌声に、心から夢中になっていたんです。
もちろん、映画も公開されてすぐに、劇場へ足を運びました。
サウンドトラックという言葉も、映画の音楽なんだということも、この時に初めて知ったんです。
私にとって、あの頃の安全地帯は、何もかもが初めてで、そして心を揺さぶられることばかりでした。
特に「プルシアンブルーの肖像」という曲が、もう、大好きで大好きでたまらなかったんです。
あのメロディを聴くと、今でも胸がキュンとします。
アルバム全体としては、インストゥルメンタル曲が多いのですが、全体の世界観がすごくまとまっていて、どの曲も映画の情景を鮮やかに思い描かせてくれます。
そして、玉置さん以外の安全地帯メンバー、矢萩さん、六土さんが作曲された曲も聴けるというのが、当時子どもながらに「すごく得した気分!」と嬉しかったのを覚えています。
それぞれの曲に、個性が光っていて、安全地帯というバンドの奥深さを感じさせてくれました。
当時の玉置さんは、映画の役柄で無精髭を伸ばしていらっしゃいましたよね。
その後の歌番組に登場される時も、お髭姿だったんです。
ご本人曰く、結構お髭、濃かったらしいです。
あの、ちょっとワイルドで色気のあるお髭の玉置さんに、小学校6年生だった私はもう、メロメロになってしまって。
テレビ画面越しに、ドキドキしながら見つめていたのを、今でもはっきりと覚えています。
このアルバムを聴くと、そんな甘酸っぱい思い出が、まるで昨日のことのように蘇ってきて、心が温かくなります。
安全地帯の音楽は、私が子供から思春期への移行期を思い出させ懐かしさを感じさせながらも、今聴いても新鮮なんです…!
このアルバムは、私にとってかけがえのない、大切な宝物と言えます。

音楽は、聴く人それぞれの心に、様々な物語を紡いでくれるものです。
映画を見なくても、このアルバムだけで世界観にどっぷり浸れると思います。